連携企画:
City to City 2020:
Human Responsibility

ユネスコ創造都市ネットワーク メディアアーツ加盟都市事業

札幌市は、2013年にユネスコ創造都市ネットワークにメディアアーツ分野で加盟して以来、世界の先進都市との文化交流に取り組んでいます。例年、作家の都市間交流を実施してきましたが、新型コロナウイルスの影響により、往来を伴う交流が困難となりました。
そこで、オンラインを活用して作品の共同制作を行う事業「City to City」が生まれました。各都市の作家がペアを組み、1か月で作品制作を行う取組で、2020年は9都市が参加し、4作品が作られました。札幌市はスロバキアのコシツェ市とペアとなり、両市の代表作家が「Human Responsibility」をテーマとした共同制作を行いました。

「追憶の道/Reminiscence path」

〈作品コンセプト〉

2020年秋に共同制作されたこの作品は、「コロナ禍での世界の状況を、どのように記憶に留め、振り返るか」をコンセプトとしたオーディオビジュアルインスタレーション作品です。コシツェの代表作家・Beata Kolbašovská が映像を、札幌の代表作家・大黒淳一が音楽を担当しました。
 映像は、地形図や様々なアプリケーションから散歩やサイクリングのGPSデータをトラッキングし、その軌跡(path)をトレースして作成しました。音楽は、街なかでフィールドレコーディングを行ったバイノーラルサウンドを使用しており、実際に歩いている時のように、映像の動きにあわせて音も動く仕組みです。
 「path」という言葉には、「道」だけでなく「人生」という意味も含まれています。
封鎖された世界で、私たちはどこへ行ったのだろう? どこで心を休めたのだろう? 数年後にこの作品を振り返ったとき、私たちは何を思うだろうか?  コロナ禍における人々の経験を可視化したこの作品は、私たちの記憶に直接的に結びつくものです。例えひとり孤独でいたり、繋がりが絶たれていたとしても、札幌とコシツェを繋ぐ「追憶の道」は世界に繋がっており、一体感を味わえるように表現しました。

大黒 淳一 Junichi OGURO

サウンドアーティスト。札幌出身。自然とテクノロジーによる音楽の構築を中心に、作曲やサウンドプログラミング、現代アート作品などを手掛けており、近年では日本初の43.4chの立体音響の商業施設のプロデュースやインディペンデントレーベル43dの運営などを行っている。

Beata Kolbašovská

コシツェを拠点に活動するメディアアーティスト。スロバキア出身。3Dマッピングやライブアクトを制作しており、世界中のコンテンポラリーダンサー、劇場、パフォーマー、ミュージシャンとコラボレーションするビジュアルコレクティブ「Nano vjs」の共同創設者。